2012/12/23

運動〈経験〉36号 ― 戦争責任論から〈原発(核)責任〉論へ


2012年12月23日発行

    目次

象徴天皇制の現在
「除染[復興]ビジネスと視察の政治」かな?●中村ななこ

《特集》 
 戦争責任論から〈原発(核)責任〉論へ

インタビュー
 フィクション(小説)と歴史―『石炭の文学史』をめぐって●池田浩士(聞き手:天野恵一)

 
ロング書評
 石炭にかかわるすべてのひとびとの生の軌跡を再構築して語る
   ―池田浩士著「石炭の文学史」●彦坂諦

 
東電・国幹部らを1万4586人が告訴・告発
   ―福島原発告訴団運動がめざすもの●中路良一

集会の記録
 排外主義と天皇制を問う8・15反「靖国」行動
  八月十五日と国体護持、日本の軍事大国化のための「愛国心」昂揚●山田昭次

ロング書評
 体験を語る/継承する困難さと向かいあう
   ―『焦土の記憶』『複数の「ヒロシマ」』●北野誉
 

〈1968〉論議―❼「自立思想」と 「全共闘」●天野恵一

コラム
 福岡から
   戦後民主主義の限界と極私的展望●竹森真紀
神奈川から 
    「反弾圧」の勧め・・・・・弾圧にめげないで、闘い続けるために!●京極紀子
日の丸・君が代
   「国旗に一礼しない村長」で考える●梶川涼子


定価:1000円+税
編集●反天皇制運動連絡会 
発行●軌跡社
発売●社会評論社 

2012/12/09

12月23日 反天連集会のお知らせ

                                         
戦後国家(象徴天皇制)の正体

お話:佐藤泉さん(青山学院大学教員/日本文学)
   武藤一羊さん(ピープルズ・プラン研究所)
   天野恵一(反天皇制運動連絡会)

 

日時:2012年12月23日(日) 午後2時半より
場所:日本キリスト教会館4F(地下鉄東西線早稲田駅3b番、2番出口から徒歩5分)
主催:反天皇制運動連絡会
 
 
 『戦後史の正体─1945−2012』という元外務相国際情報局長の孫崎享の本が、いま大きな話題となっている。それは戦後日本国家の基本政策は占領国家アメリカの戦略の枠で決定されてきており、それに反抗した首相らはみな、いろいろな方法でパージされ続けてきた、という戦後政治史である。
 米国では危険すぎて訓練飛行すらできないオスプレイ配備を、辺野古への新米軍基地づくりとともに強制されており、米兵の住民への暴行事件が多発し続けている沖縄。そこでは「軍事占領の時代は終わっていない」と語られ続けている。
 沖縄だけではない。日本の〈占領〉は本当に終わっているのか。

 日本の政府はアメリカ政府のいいなり。それが日米安保体制だと政府・外務省は事実上公言している。また、原発稼働を2030年代にゼロにするという野田政権の政策の閣議決定は、決定直前、アメリカの要求で撤回された。いま吹き荒れている韓国、中国、ロシアとの「領土」問題も、アメリカの「反共」政治家ダレスが天皇ヒロヒトのメッセージをふまえて、沖縄を米軍の自由にしながら、安保条約とセットでつくりだしたサンフランシスコ講和条約の諸国と話をまとめる強引な外交によってつくった領土の規定の曖昧さにその起源があることを忘れるわけにはいかない。独立へ向けた戦後日本国家の国境線も、アメリカの支配者が引いたものである。
 天皇ヒロヒトの戦後責任を問わずに、天皇制官僚とくんでアメリカは占領政策を、そして講和後の政策も展開したのだ。しかし、私たちは元外務相官僚(孫崎)のように、アメリカに反抗的だった日本の権力政治家(自主軍事体制を目指した)のビジョンをそのまま肯定的に考えるわけにはいかない。しかし戦後象徴天皇制国家はアメリカじかけであったという「正体」が、ここまで露出してきているいま、これをトータルにどのように批判しぬくのか。今年の天皇誕生日に天皇制の戦争・戦後責任を問うあつまりは、このテーマである。討論への参加を!

2012/12/04

モンスター35号 [主張]

天皇制はどこに向かうのか? 12·23反天連集会へ!


 ここにきて、いわゆる「政局」が大きく動いている。少なくとも、「第3極」と呼ばれる勢力のなかに、原発の是非をめぐる対立点が浮上し、「リベラル」的なものと「保守」的なものとの政治姿勢の差が際だってきたことはよいことだ、と素直に思う。改憲をはじめ、右翼的政治を競い合う安倍自民党と石原・橋下維新ばかりがクローズアップされ、そして世論調査などでは、彼らへの圧倒的な支持ばかりが伝えられていたからだ。
 今年の4月に発表された自民党の改憲案は、2005年に発表した草案を「サンフランシスコ講和条約」60年にあたって改訂したものだ。自衛隊の「国防軍」への改称、集団的自衛権行使の容認、天皇を「日本国の元首」と位置づけ、日の丸や君が代の尊重を義務づけるもの。改憲案をまとめた憲法改正推進本部の最高顧問の一人が安倍だった。いずれにせよ、今後、改憲問題は政治的争点のひとつに再浮上していくことになるだろう。そしてそれは、私たちにとっては、明仁天皇の「Xデー」過程と並行することにより、象徴天皇制の再編=再定義をめぐる政治的な攻防とならざるを得ないはずである。
 11月17日、天皇明仁は糸満で開かれる「全国豊かな海づくり大会」出席のために沖縄へと出発した。沖縄現地では、天皇来沖に反対する連続アクションが準備され、私たちも現地の反対行動に呼応し、この日、銀座で集会とデモを行い、抗議の声をあげていった。この大会それ自体が沖縄「本土復帰」40年記念行事のひとつであると同時に、オスプレイ配備や辺野古・高江などの基地建設をはじめ、強化される日米による安保=基地の押しつけへの怒りが強まる沖縄の感情を「慰撫」する役割が期待されていたはずである。しかし、現在の天皇制が、そういった役割を十全に果たし得るものであるかどうかは、また疑問ではある。もちろん、慰撫などできるものではない。今回もまたそうであったように、現在における天皇制のふるまいは、きわめて名目的・儀礼的なものにとどまっている。テレビで「海づくり大会」の中継を見て感じたのは、迎える方も迎えられる方も、あまりにも白々しいという感覚だった。儀礼とはそもそもそういうものだと言えばそのとおりだし、私たちもまた、そういう「名目的統合」が果たす役割を問題にしてきたつもりである。それでも明仁天皇は、沖縄に対する「思い」を常日頃強調している「実績」もあり、その儀礼にある種の「内実」を盛り込むポーズを示すことだけはできた。しかし徳仁の代になると、それは文字通りの無内容しか示し得ないのではないか。それがむしろ、国家の儀礼装置として存在する天皇制の「純化」となるともいえるのかもしれない。このあたりの議論は、3年という反天連のこの期の終わりを迎えるにあたって、私たちなりの総括と展望を提示していく上で、必要な作業であると考えている。
 さて、私たちはいま、恒例の12·23集会の準備に入っている。今年のテーマは、「戦後象徴天皇制国家の正体」。ちょっと気づかれにくいが、最近ベストセラーとなったらしい孫崎享の『戦後史の正体』のもじりである。もちろん、私たちは孫崎の本が評価されるべきであるなどという立場にはいない。だが、この本がベストセラーになるということについてだけは、考慮してみる価値はあるだろう。戦後日本における「アメリカの影」、もっと言えば、戦後日本国家そのものが「アメリカ製」であることに、すでに多くの人が気づいているのだ。もちろん、政権政党の「対米従属」と「自立派」を機械的(恣意的?)にふりわけて、後者を宣揚することが、私たちの目的ではない。私たちは、戦後日本国家がそのように作られたことによって、象徴天皇制や戦後保守政治もまた「アメリカ製」であり、その「出自」を隠蔽するものとしてナショナリズムや国家主義も煽られてきたともいえる構造全体を問題にしたいのである。そうした戦後を積極的につくりだし、戦後象徴天皇制を自ら作り出したのが裕仁であり、そしてそれを「大衆社会」的に展開したのが明仁であったとすれば、そうした戦後的な枠組みはそのままで、天皇制を今後どのように使っていくのかは、天皇制を国家の機関として保ち続けようとする為政者にとっては、あいかわらず課題としてあるはずである。
 当日は、日本キリスト教会館で、発言者としてピープルズ・プラン研究所の武藤一羊さん、青山学院大学教員(日本文学)の佐藤泉さんをお迎えし、反天連の天野恵一も加えて議論していく予定である。来年も忙しくなりそうである。今年の締めくくりの集会に、ぜひ。  (北野誉)


反天皇制運動 モンスター35号(通巻341号)

2012年12月4日発行

2012/11/06

基地づくり! 海づくり? 天皇の沖縄訪問反対! 緊急行動 銀座デモ!

 

日時:2012年11月17日(土)15:00集合
集合場所:水谷橋公園(地下鉄銀座線・都営浅草線京橋徒歩1分)


 
基地づくり! 海づくり? 天皇の沖縄訪問反対! 緊急行動

今年11月17-18日、「復帰40周年記念事業」の一環として、沖縄の糸満で天皇出席の儀式である「全国豊かな海づくり大会」が準備されています。「大会開催の意義」には、「生産の基盤となるサンゴ礁も地球温暖化の影響による白化現象など」の厳しい状況にあり、「海づくり大会」の開催は「県民一人ひとりの(中略)意識の高揚と併せて、本県の水沖縄を踏みにじるな!緊急アクション実行委員会振興と発展を図るうえで、大変意義深い」とあります。ここでは、沖縄の海にかかる問題として、「復帰」を前後して大規模に進められた「本土資本」による開発の結果としての環境破壊、現在的には辺野古の海上基地建設問題についてなど一切触れられていません。

 また、沖縄の人々の怒りをかきたて、粘り強い抵抗を持続させているのは、オスプレイの強制配備、辺野古と高江の新基地建設問題、普天間基地の不撤去問題、全国の74%を占めるという基地集中化の問題、あるいは米兵による途絶えることのない女性への暴力や、領土問題」を口実にした自衛隊配備の強化という現実であり、その構造を作りだした日米安保~日米地位協定の問題と、その発端を作った昭和天皇であることは間違いありません。そして、その根底には、近代以降継続する、日本による沖縄支配という現実があります。

 日本政府は基地問題に対してアメリカと交渉するどころか、アメリカと一緒になって安保と基地を沖縄に押しつけています。その沖縄で開催される「海づくり大会」という天皇の政治パフォーマンスとは、琉球処分と沖縄戦、米軍政支配、「本土復帰」と踏みにじり続けてきた沖縄を、あらためて日本に「統合」していく儀式でしかありません。

 これらすべてに対して、私たちはこの首都圏からできる限りの大きな抗議の声を大きく上げていきたいと考え、緊急行動を呼びかけます。「海はつくれない!」「天皇は基地づくり海つぶしの現実を隠蔽する儀礼をやめろ!」「沖縄を日米安保の道具にするな!」等々の声をあげていきましょう。

 
主催:基地づくり! 海づくり? 天皇の沖縄訪問反対! 緊急行動

●呼びかけ:アジア連帯講座、井上澄夫(沖縄・一坪反戦地主会・関東ブロック)、上原成信(沖縄・一坪反戦地主会・関東ブロック)、沖縄を踏みにじるな!緊急アクション実行委員会、立川自衛隊監視テント村、日韓民衆連帯全国ネットワーク、命どぅ宝ネットワーク、反安保実行委員会、反天皇制運動連絡会、「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会、古荘斗糸子(うちなんちゅの怒りとともに!三多摩市民の会)、靖国・天皇制問題情報センター、吉田正司(沖縄・一坪反戦地主会・関東ブロック)、琉球センター・どぅたっち、労働運動活動者評議会

反天皇制運動 モンスター34号(通巻340号)

2012年11月6日発行

2012/09/12

反天皇制運動 モンスター32号(通巻338号)

2012年9月12日発行


 【扉】 (大)
 
 【主張】 それでも「抵抗」し続けよう!(中村ななこ)

【追悼・大島孝一さん】(天野恵一)

【状況批評】 日米安保への従属に抗して自己決定権を望む沖縄(浦島悦子)
 
【反天ジャーナル】 ・選挙制度「改革」法案が(はじき豆)   
            ・原発は単なる電力生産工場ではない?(核女)  
            ・撮影されるべき映像と、そうでない映像(Paint it white)
 
【ネットワーク】 女天研連続講座「反逆の女たちと出逢いなおす」(首藤久美子)

【書評】 三一書房編集部編『デモ!オキュパイ!未来のための直接行動』(平井玄)
 
 【太田昌国の夢は夜ひらく】30 九月の出来事に、何を思うか(太田昌国) 

 
【野次馬日誌】 8月3日~9月4日
 
【集会の真相】・ナショナリズムを考える8月(加藤匡通/靖国解体企画
          ・右翼の暴力を黙認する警察官たち―8・15反「靖国」行動(水島たかし)
          ・東京都・目黒区総合防災訓練反対行動(大賀達雄/2012年米軍・自衛隊参加の東京都・目黒区総合防災訓練に反対する実行委員会)
          

 【反天日誌/集会情報/神田川】


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2012/08/13

運動〈経験〉35号 ― 〈生存〉の危機の時代のなかで

  2012年8月15日発行


   目次

象徴天皇制の現在
 排外主義と天皇制を問う行動に向けて●北野誉

《特集》 〈生存〉の危機の時代のなかで

インタビュー
 〈飢え〉という問題、農業・台所・原発
    ―『ナチスのキッチン』をめぐって●藤原辰史(聞き 手:天野恵一)

ロング書評
 反「反原発」論!?―「リアリティ」の内実について―関沼博著『「フクシマ」論-原子力ムラはなぜ生まれたのか』●松井隆志

集会の記録
 2・11反「紀元節」行動
 「危機」の時代の天皇制を問う!
  京極紀子+桜井大子+なすび+村上陽子

集会の記録
 4・29反「昭和の日」行動
 植民地支配と日米安保を問う
  新垣誠+太田昌国

ロング書評
 「脱帝国」を読む ― 陳光興著、丸川哲史訳『脱帝国―方法としてのアジア』●伊藤晃

 〈1968〉論議⑥●天野恵一

 
 ヤスクニ嫌いだ・ブックレヴューⅤ●辻子実

 コラム
 福岡から 排外主義とたたかうために〈パート1〉●丸田弘篤

 日の丸・君が代 怒る人びと●梶川涼子


定価:1000円+税
編集●反天皇制運動連絡会 
発行●軌跡社
発売●社会評論社 

2012/08/07

反天皇制運動 モンスター31号(通巻337号)


2012年8月7日発行


 【扉】 (蝙蝠)
 
 【主張】 排外主義反対! そしてさまざまな運動課題の共有を!(北野誉)

【動物(あにまる)談義】 “だめなノダ”の巻

【状況批評】 ”杭テロ”はただのパフォーマンス(野坂征太郎)
 
【反天ジャーナル】 ・街へ出るにはまず書を読まないと(戦闘的ゴジラ主義者)   
            ・ネットを統制するACTAの批准を阻止せよ!(可決した議員は中身を知らない!?)  
            ・世界民主化計画と中国民主化運動(微笑女)
 
【ネットワーク】 ・共通番号法と秘密保全法によって強まる個人管理と監視(中森圭子)
 

  【皇室情報の解読】原爆の死者は「平和利用」のための礎!-「8・15反靖国」行動へ向けて(天野恵一)
【野次馬日誌】 7月5日~8月2日
【今月の暴言】⑲
 
【集会の真相】・反逆の女たちに出逢いなおす(ユカトラ)
          ・再稼働阻止・全国相談会(千葉澄子/福島原発事故緊急会議)
          ・自衛隊災害調査自治体宿泊訓練反対!(池田五律/戦争に協力をしない!させない!練馬アクション)
          ・排外主義をうつ!7・28討論集会(桃色鰐/8・15反「靖国」行動実行委員会)

 【反天日誌/集会情報/神田川】


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2012/08/06

排外主義と天皇制を問う 8.15反「靖国」行動



●2012年8月15日(水)/13:10開場、13:30開始 16:15~デモ出発

●場所:在日本韓国YMCA・9階ホール(JR水道橋駅徒歩6分、御茶ノ水駅徒歩9分、地下鉄神保町駅徒歩7分)


●お話:山田昭次さん(歴史研究者、著書『植民地支配・戦争・戦後の責任━挑戦・中国への視点の模索』創史社




 民主党政権は、なりふりかまわぬ原発再稼働へと進み、社会保障の切り捨て・消費税増税、国民共通番号制、普天間基地の辺野古「移設」の再確認、「中国脅威論」を口実とした日米共同作戦体制の強化などを進めていこうとしている。

 このような政治状況は、改憲問題をふたたび表面化せざるをえない。 今年の憲法記念日を前に、自民党やみんなの党、たちあがれ日本があいついで改憲案を提出した。いずれも天皇元首化、「国旗・国歌」の明確化、首相に権限を集中する緊急事態対処などをうたったものだ。


 こうした国家主義的な改憲案にある中心的な思想が、「国民主権の縮小と立憲主義の否定」であることは間違いない。そして、それらは、現代日本の政治・経済・社会の場面全てを覆う閉塞感を打破するものとし て打ち上げられているのだ。


 こうした政治的なムードのなかで、右翼・排外主義者が力を得る状況が目だっている。この間浮上していることだけでも、石原都知事呼びかけによる尖閣購入 問題、八重山「つくる会教科書」採択問題、那覇市の「第32軍司令部壕」説明板からの「慰安婦」削除問題、北海道小中学校の「アイヌ副読本」記述改ざん、 韓国人写真家による元「慰安婦」写真展の中止などあいついだ。日本政府による、ソウルやアメリカの「慰安婦の碑」撤去要請は、一方で軍事協力を拡大させて いる李明博政権との関係にさえ、影響を与えている。


 これら一連の事態が明らかにしているのは、近代日本の侵略・植民地支配の歴史が生み出したさまざまな問題について、事実を否定し、是非を転倒させていく 歴史修正主義の潮流が、この社会のメインストリームに定着させられてしまったという事実である。自民党が今国会に提出を目論んでいるという「国旗損壊罪」 も、そうした風潮に乗っていることは間違いない。


 それは、決して一部右派政治家・排外主義者たちだけのものではない。すでに、この社会における根強い基盤とさえいえる状況だ。そしてそれは、現実政治・ 社会に対する「うっぷんばらし」としての石原や橋下のポピュリズムに対する支持とも連動しているだろう。私たちの反天皇制運動の課題とは、そのような基盤 を解体していくことに他ならない。


 こうした状況のなかで、日本の戦争責任・植民地支配責任の追及、そして反天皇制の声を挙げていくことへのバッシングは、年々厳しいものとなっている。集 会の会場に対する右翼の嫌がらせは、会場管理者に対 して集会使用への 忌避感を募らせる。右翼による暴力的なデモへの破壊と、それを利用した権力の介入も深刻さを増している。暴力によるデモ破壊を公言し続けている在特会は、 靖国周辺での「騒乱」を理由に8月15日の「反日デモ」を許可しないよう、東京都公安委員会に求める署名活動をはじめた。


 現実の問題として、表現の自由、思想・信条の自由が、著しく侵害され始めていると言わざるを得ない。このことが、反天皇制運動の課題としても強く主張さ れなければならない。そしてこういう時代状況だから こそ、私たちは、 あたりまえの声をあたりまえに上げていく8・ 15行動に今年も取り組んでいきたいと考える。


 かつての戦争を美化し、戦争の死者を顕彰する靖国神社の歴史認識は、跋扈する歴史修正主義の思想的バックボーンのひとつであり、また、当日天皇出席のも とで九段で開かれる「全国戦没者追悼式」も、戦争の死者のおかげで「戦後の平和」がもたらされたとする儀式である。 それは、死者たちを生み出した国家の責任を解除するばかりでな く、今後も「お国のための死」を尊いものとして受け入れさせていこうというイデオロギーにほかならない。


 今年の春、心臓の手術を行ったアキヒト天皇は、「病後をおして」政府主催の3.11追悼式典に出席して「おことば」を述べ、その後もイギリス訪問や山口 全国植樹祭に出席するなど活発に動いている。それは、アキヒト・ミチコ天皇制の「ラストスパート」をさえ思わせる。この11月には沖縄・糸満で「豊かな海 づくり大会」の開催=天皇の沖縄訪問が計画されているが、アキヒト・ミチコは沖縄にとく に関心 が深いと言われている。かれらの沖縄訪問が、これまでもそうであったように、米軍基地問題をはじめとする日本の沖縄に対する「植民地」的支配の矛盾を糊塗 し、沖縄の人たちを「慰撫」する政治的なパフォーマンスとなることは間違いない。それはまた、「復帰40 年」を機に、沖縄の人たちの新たな「皇民化」=「国民化」を推し進める ことで、この地の人たちの抵抗を押さえつけていく役割を果すだろう。


 確実に近づくアキヒト「Xデー」をも射程に入れつつ、アキヒト天皇制の「総決算」と闘う反天皇制運動を作り出していこう。



主催:排外主義と天皇制を問う8.15反「靖国」行動実行委員会 

http://2012815.blogspot.jp/


呼びかけ団体:アジア連帯講座、沖縄を踏みにじるな!緊急アクション実行委員会、キリスト教事業所連帯合同労働組合、国連・憲法問題研究会、市民の意見 30の会・東京、女性と天皇制研究会、スペース21、立川自衛隊監視テント村、日韓民衆連帯全国ネットワーク、命どぅ宝ネットワーク、反安保実行委員会、 「反改憲」運動通信、反天皇制運動連絡会、「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会、「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会、ピープル ズ・プラン研究所、靖国解体企画 、靖国・天皇制問題情報センター、琉球センター・どぅたっち、連帯社、労働運動活動者評議会、
賛同団体: 荒川・墨田・山谷&足立実行委員会、差別・排外主義に反対する連絡会、山谷労働者福祉会館活動委員会、争議団連絡会議

2012/07/26

排外主義をうつ!7.28討論集会& 『靖国中毒』上映


 排外主義が市民権を獲得しつつあることへの不安感を、私たちはここ数年実感させられている。その排外主義は、権力の中枢から、「市民社会」と呼ばれる公共の場、市井の人々の間で、さまざまに自己主張している。
  朝鮮学校への暴力的な攻撃、学校や職場で強要される「日の丸・君が代」、自民党などが出した憲法草案の思想、入国管理・外国人登録法の強化と改悪、排除の 論理で肥え太る資本、排外主義と戦争、戦争の歴史認識とその歴史認識を歪める「靖国」、デモ中に出くわす右翼の暴力、反天皇制や反「靖国」を掲げた途端に 表現の自由を奪われる現実、等々。さまざまな現実があるのだ。
 深刻で今日的なこの「排外主義」の問題について、多岐にわたる視点と切り口から議論を重ね、克服可能な課題に転化していくための一歩を踏み出したい。さまざまな領域で活動する実行委呼びかけ団体を中心に、5分間スピーチの形で問題提起し、全体討論につなげていく。
 1部のDVD『靖国中毒』上映と2部の討論集会、併せてご参集ください。そして、ぜひ議論に加わってください。

◆2012年7月28日(土)
◆日本キリスト教会館4F
(地下鉄東西線早稲田駅3b番、2番出口から徒歩5分)

1部 『靖国中毒』上映
15:15開場、15:30~16:30

2部 討論会
17:15開場、17:30~20:00
問題提起:右翼、ネット上での言論、ナショナリズム、憲法改悪、「日の丸・君が代」、思想・信条の自由、表現の自由への侵害等々、できるだけ多くの視点と切り口から、さまざまな領域で活動するグループ・個人による

*1部、2部それぞれ300円(入れ替え制)

主催:排外主義と天皇制を問う8.15反「靖国」行動実行委員会

 http://2012815.blogspot.jp/

呼びかけ団体:アジア連帯講座、沖縄を踏みにじるな!緊急アクション実行委員会、キリスト教事業所連帯合同労働組合、国連・憲法問 題研究会、市民の意見30の会・東京、女性と天皇制研究会、スペース21、立川自衛隊監視テント村、日韓民衆連帯全国ネットワーク、命どぅ宝ネットワー ク、反安保実行委員会、「反改憲」運動通信、反天皇制運動連絡会、「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会、「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対す る神奈川の会、ピープルズ・プラン研究所、靖国・天皇制問題情報センター、琉球センター・どぅたっち、連帯社、労働運動活動者評議会
賛同団体: 荒川・墨田・山谷&足立実行委員会、差別・排外主義に反対する連絡会、山谷労働者福祉会館活動委員会、争議団連絡会議、

2012/07/10

反天皇制運動 モンスター30号(通巻336号)

2012年7月10日発行

 【扉】 (村山森哉)
 
 【主張】 排外主義反対! のうねりをつくり出そう!(桜井大子)

【貝原浩のあの時・この時】 騙りの女(天野恵一)

【状況批評】 「一瞬の再稼働」に終わらせよう!~「再稼働反対!全国アクション」の取り組みから~(杉原浩司)
 
【反天ジャーナル】 ・戦後を生き続ける社会を(福岡編)(排外主義にNO!福岡 たけもりまき)   
            ・石原と橋下の女性政策(微笑女)  
            ・「銃剣道とパンダの筋トレ(桃色鰐)
 
【ネットワーク】 ・差別排外主義と弾圧に抗して闘い抜こう!(山中幸男)


 
【書評】 田中伸尚著『ルポ 良心と義務―「日の丸・君が代」に抗う人びと』(田中聡史)
 
 【太田昌国の夢は夜ひらく】28 オスプレイ配備は、事前協議によって拒否できる(太田昌国) 

【野次馬日誌】 6月4日~7月4日
 
【集会の真相】 ・「基地はいらない!」練馬駐屯地抗議デモ 6・12市街地レンジャー訓練強行に抗議!(有事立法・治安弾圧を許すな!北部集会実行委員会/H)
          ・大盛況ゆんたく高江!(ほしのめぐみ)
          ・南スーダンへの自衛隊第2次隊派兵反対!(梶野/反安保実)
          ・横田でオスプレイ反対・自衛隊移駐反対デモ(井上森/立川自衛隊監視テント村)

 【反天日誌/集会情報/神田川】


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2012/06/13

反天皇制運動 モンスター29号(通巻335号)

 

反天連機関紙 反天皇制運動モンスター 29号 [通巻335号]
2012年6月13日発行

主張◉ 自分たちの、みんなの力を信じて
 
動物(あにまる)談義◉ “アキヒト革命”の巻

状況批評 「在特会的なもの」と靖国批判- 北野誉

反天ジャーナル◉

紹介◉ 「原発ファシズム・天皇制」- 鰐沢桃子
太田昌国の夢は夜ひらく〈27〉◉ オウム真理教事件報道と権力の変幻自在さ- 太田昌国

皇室情報の解読◉ 〈戦争責任〉をふまえて〈原発責任〉を問う―「再稼働」反対行動へ- 天野恵一

野次馬日誌◉
 
今月の暴言
 
集会の真相◉
 
反天日誌

集会情報◉

神田川◉
 
 
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2012/06/01

モンスター28号[集会報告]


4・28─4・29連続行動

1952年4月28日のサンフランシスコ講和条約が発効されて60年目、沖縄が「本土復帰」してから40年という年にあたる今年の反「昭和の日」行動は、4月28、29日の連続行動として行われた。まず28日には、沖縄から新垣誠さん(写真家、沖縄NGOセンター代表理事)、太田昌国さん(編集者、民族問題研究家)をお迎えして、反安保実行委員会との共催で「60年目の『沖縄デー』に植民地支配と日米安保を問う」と題して行われた。写真家でもある新垣さんは、たくさんの写真をスクリーンに映しながら、昨年末からの名護市辺野古の環境影響評価書(アセスメント)を沖縄県庁提出をめぐる地元の方たちのほのぼのとした、でも粘り腰の運動についての報告、ツイッターやフェイスブックで駆けつけた若い世代に芽生えている新しい動きに注目していると話された。

太田さんは「戦後日本国家と継続する植民地主義」というテーマで、世界と日本の植民地支配の歴史、東西冷戦構造について語り、特に日本が敗戦後から現在まで向き合わないですませてきた事実を話された。それでも、1990年前後からヨーロッパで始まった過去の検証、2001年に行われたダーバン世界会議では、欧米諸国と奴隷・植民地主義の犠牲となった国々が話し合うなど、少しずつではあるが侵略・植民地主義・人種差別の克服に関して、「ここまで来た」と前向きに考えることも必要だと話された。80名参加。

翌29日は、「植民地支配と日米安保を問う」というテーマで、さまざまな運動団体で活躍されている13名のみなさんに8分間スピーチをしていただいた。一見バラバラのテーマのように見えるが、その底流に流れているのは敗戦後の日本が抱えている矛盾、サンフランシスコ講和条約、日米安保、そして天皇制の問題が立体的にみえてくるのでは、という企画だった。発言者は、国富建治さん(反安保実行委員会、28日の集会報告)、佐野通夫さん(『高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会)、木元茂夫さん(すべての基地にNO!を!ファイト神奈川)、中森圭子さん(盗聴法に反対する市民連絡会)、宮崎俊郎さん(反住基ネット連絡会)井上森さん(立川自衛隊監視テント村)、アツミマサズミさん(東京にオリンピックはいらないネット)、上原成信さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)、藤田五郎さん(山谷福祉会館活動委)、田中聡史さん(板橋特別支援学校「君が代」不起立者)、丹羽雅代さん(女たちの戦争と平和資料館)、梶川凉子さん(反改憲運動通信)、天野恵一さん(福島原発事故緊急会議)。

集会後のデモは、2・11のデモに関して抗議文を警察に対して出したりしたが、その効果があってか、警察の右翼に対する警備が「強化」されていて、デモ自体は久しぶりに静かなデモだった。だが、右翼による集会会場への攻撃や解散地点での襲撃、また公安による写真、ビデオ撮影など、私たちの表現の自由を守る闘いは今後も続きそうだ。集会・デモ参加者100名。
(中村ななこ/反「昭和の日」行動実行委員会)

モンスター28号[集会報告]


「反逆の女たちに出逢いなおす」第3回

4月18日、駒込・どぅたっちで、女性と天皇制研究会の連続講座「反逆の女たちに出逢いなおす」の第3回が行われたので、参加してきた。

そもそも「大逆事件」100年を記念し、天皇制国家と抗った女たちの足跡をたどるこの企画。僕はとても楽しみにしている。楽しみなのは、毎回、講座のあと同じ会場で行われる、おいしい沖縄料理と泡盛飲み放題の交流会でしょ、と人にも言われまた事実その通りでもあるのだが、それも含めた企画の全体がとても魅力的なのだ。1回目は近藤和子さんによる管野すが、2回目は山川菊枝の記録映画と鈴木裕子さんのコメント。そして今回取り上げられたのは金子文子。このあと、長谷川テル、伊藤野枝、宮本百合子……と続くらしい。

それで、今回の報告者は渡辺厚子さん。学校現場の「日の丸・君が代」処分への闘いでおなじみだが、80年代には韓国政治犯救援の活動にも関わっていたと聞いている。そうしたことを思えば、渡辺さんが金子文子について報告するのは、とてもぴったりだ。

実際、渡辺さんは昨年10月に、金子文子についての著作もある山田昭次さんらとともに韓国に行き、聞慶に開館予定の朴烈義士記念館や金子文子の墓、芙江里に残るゆかりの地を訪れている。今回のお話と一緒に紹介されたそのときのスライドは、金子文子も見ていたであろう当時の朝鮮の風景を、僕たちにも想像させるものだった。

「私生児」としての出生、そのことによる被差別体験と朝鮮での体験、17歳で東京に出て自立しながらの勉学、朴烈ら朝鮮青年たちとの出逢い、皇太子(昭和天皇)への「爆弾事件」容疑での逮捕、死刑判決〜天皇恩赦で減刑、獄中での「縊死」……。わずか23歳で世を去った彼女の生は、酷薄であり鮮烈である。渡辺さんのお話は、おもにその金子文子の生涯をトレースするかたちで進められた。そして、今回はもうお一人、山田昭次さんもコメンテーターとして参加された。山田さんは、金子文子の思想的な意味を家父長制および家父長制社会に対する抵抗であると明確に整理された。そのことによって、彼女の個人的な生は社会的な闘いとストレートにつながる。

渡辺さんのお話は、時間の制約で、準備されていた文子の思想の意味、権力や平等、天皇・国家、朝鮮観については、十分お話を聞けなかった。残念だが、詳細なレジメも配られていたので、自分自身でこのことは考えていきたい。
(北野誉)

モンスター28号[今月の暴言]


風岡典之宮内庁次長は7日の記者会見で、ミチコ皇后は「身位(身分や地位)を考慮され、陛下とご一緒の方式はご遠慮すべきだとのお気持ち」と伝えた。大きく報道された「天皇の埋葬は火葬で合葬を検討」に続く記事で、要するに「身分違いなので合葬は遠慮しますわ」という皇后の話。宮内庁は対応として、天皇の墓(「墳丘」)の脇に皇后用の小規模な墓をつくって合葬に近づけるとか。いやはや……。

前近代的な家父長制価値観で動く皇室のトップにある天皇夫婦は、「国民に寄り添い」「平等と平和を願い」、と新しい天皇像を模索し続ける演出もしてきたが、しかし結局最後はこれだ。身分制に生きる者は自らをも差別し、人にも当たり前に強要する。現在的な日本人的感覚を演出するならば、二人仲良く墓に入る、くらいはやりそうなものを、差別構造だけは崩せないのだなあ。いずれにしろ大規模な墓はつくられる。身分制度と税金の無駄遣い。迷惑な話である。
(木菟)

モンスター28号[主張]


沖縄と原発、私たちの〈当事者性〉

私たち反天連のGWは、4・28〜4・29「植民地支配と日米安保を問う」(反安保実行委員会+反「昭和の日」実行委員会主催)連続行動からスタートした。28日の「沖縄デー」には写真家で沖縄NGOセンター代表の新垣誠さんと民族問題研究者の太田昌国さんの講演集会。29日は13の運動グループから発言してもらった。限られた時間の中で、どうなることかとハラハラしたが、各自八分という短い時間ゆえにギュッと「旨味」が凝縮され、今後の運動の活力となるような栄養価(?)の高いスピーチであった。連続行動で発言していただいた皆様、本当にありがとうございました(詳細は報告参照)。

近年の運動報告が、その内容より弾圧と暴力に関することに終始してしまう現状が続いていた。が今回、会場外からの大音量の雑音を気にせず、集中して発言者のことばに耳を傾けることができた。デモも、在特会や街宣右翼の罵声の中を進むことなく、彼らの姿を見ることなしに行うことができた。この間の暴力のエスカレートに対して、私たちはそのつど抗議声明を出し、警備当局に公開質問状を提出してきた。このことが一定の功を奏したと言えるだろう。しかし一方で、警察権力の匙加減ひとつでどうにでもなることが露呈したともいえる。今回、これ以上社会問題化することを恐れた警察の判断があったことは間違いないだろう。

かたや、いつも通りの光景もあった。私たちのデモは「非暴力」の立場で、「思想・良心の自由」の表現という当然の権利としてなされている。にも関わらず、デモの間中、参加者に向けられる警察によるビデオ撮影にはいったいどんな法的根拠があるというのだろうか。私たちはこれからも、不当なことに対し声を上げ続けることをやめない。そして、ひとつひとつの事柄に根気強く、粘り強く抵抗する姿勢を示すしかないだろう。それは実にしんどいことだが、しなやかに続けていきたいなと思うのだ。新垣さんの報告では沖縄での運動シーンを撮った写真がたくさん紹介された。その闘いは大変きついものだろうが、誤解を恐れずにいえば、沖縄県庁に座り込む人々の姿には、人の心を和ませるものがあった。私たちのデモが出発して行動参加者が誰もいなくなった会場の敷地内に、右翼街宣車が6台乗り入れて騒いだということを、後日知る。

5月5日に日本における原発がすべて止まった。福島原発事故以降、全国で反原発、脱原発のデモが催され、多くの人々が「原発いらない!」の声を挙げ、意志表示をした。原発推進派は懸命に再稼働を試みたが、さすがにこの声を無視することは出来なかった。マスコミの報道の仕方も微妙に変化を見せている。また、経団連内部からは不協和音が聞かれ、同友会は「縮原発」を表明している。状況は変わりつつある。原発なしで夏を過ごすことが出来ることが証明されることを避けたい推進派に、私たちは「原発いらない!」と言い続けよう。

同時に、国策として進められてきた原発によって、生活の糧をそこから得るしかなかった人々のことも、問題にしなければならないであろう。現地の方のそうした訴えに、あるいは子どもを被ばく労働で亡くされた母親の無念の声を聴く時、自分が彼女、彼らたちの立場そのものに立つことが出来ないと私は思わざるを得ない。3・11の震災以降、この〈当事者性〉についてたびたび思いをめぐらす。季刊『運動〈経験〉』25号の刊行のことばで天野恵一は記す。「当事者としての距離に自覚的ではない自己欺瞞は自分に許してはいけない。(中略)『連帯』と『共有』は、自分が〈当事者〉であり続けているテーマの方から、自分のこだわりをバネに生みだされていかなければと考えている」。

原発は地域差別や被ばく労働など差別構造抜きにはなりたたない。豊かさには一定の犠牲も必要だとの前提で成り立つ社会に私たちは「NO!」と言う。日本においてはこの差別構造の中心に天皇制がある。天皇制を問うことは、差別構造を再生産してきた戦後日本国家そのものを問うことと考える。そこに、「原発」も「沖縄の基地」もあるのだ。その意味において私たちは自身の〈当事者性〉と向き合うことになる。アキヒト、ミチコが火葬への変更を要望し、宮内庁が墓所簡素化や合葬もふくめ検討する方針だ。天皇は心臓のバイパス手術後、赤坂御苑での春の園遊会をはじめ、積極的に公務をこなしている。5月16〜20日の日程で訪英準備も進められている。Xデーを見据えた最終章に天皇自ら取りかかっているといえよう。天皇制を問い続けることが、私たち反天連の〈当事者性〉なのだ。
(鰐沢桃子)

2012/05/15

反天皇制運動 モンスター28号(通巻334号)

 

2012年5月15日発行


 【扉】 (ぐずら)
 
【貝原浩のあの時・この時】 「御懐妊」?(天野恵一)

【状況批評】 「国」と「くに」について(彦坂諦)
 
【反天ジャーナル】 ・40年目の立川闘争へ!(井上森/立川自衛隊監視テント村)   
            ・原節子主演「新しき土」、リバイバル(シネ女)  
            ・運動をめぐるいやな予感(運動嫌い)
 
【ネットワーク】 ・処分されることにこだわる(田中聡史)
           ・2・9竪川弾圧(賃金労働者 某)
 
 【太田昌国の夢は夜ひらく】26 米日「主従」関係を自己暴露する、耐え難い言葉について (太田昌国) 
 
【野次馬日誌】 4月5日~5月8日
【集会の真相】 ・がくろう神奈川とあらゆる運動への弾圧を許さない(田中/がくろう神奈川)
          ・「君が代」にココロはわたさない(京極紀子/「茗台亭」呼びかけ人)
          ・「反逆の女たちに出逢いなおす」第3回(北野誉)
          ・4・28‐4・29連続行動(中村ななこ)

 【反天日誌/集会情報/神田川】


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2012/05/10

反天連パンフレット――原発ファシズム・天皇制



 原発ファシズム・天皇制
 2012年4月29日発行  400円
 
  目次

 ・まえがき(北野誉)
 ・原爆と原発、そして天皇
       ――象徴天皇制国家の〈原発責任〉 (天野恵一)
 ・原子力〝平和利用〟と永井隆(田浪亜央江)
 ・反原発運動を語る困難さについて(山口素明) 
 ・質疑




まえがき
 このパンフレットは、昨年12月23日に反天連主催でもたれた集会「原発ファシズム・天皇制」(千駄ヶ谷区民会館)の記録である。
 この集会からでもすでに4か月になるが、3・11と、それに続く日々の記憶は生々しい。もちろん、首都圏に住む私たちにとっては、それは被災現地の苦難とは比べものにならないものである。だが、震災に続く原発事故がもたらした状況は、やはり私たちの生を一変させるほどの衝撃を持つものだったことは明らかである。
 そのことを含めて、3・11以後を「戦後」と対比して語ることが多く見られた。12・23集会でも、そうであった。けれども、それはたんなる風景の類似性にとどまるものではない。そうした風景を作り出してしまった責任、つまりは、まさに戦後において問われなかった責任、あるいは連続してしまった社会的なシステムを今こそ問わなければならないという意志において、それは語られているのだ。
 天皇一族は、いちはやく被災地を訪れ、被災者を「慰撫」して回った。それは、戦後「巡幸」がそうだったように、天皇制と民衆との関係性を、あらためて再確認し「復興」していく儀礼的な行為でもあった。そして、今年の3月11日、国家による震災の死者の「追悼式」における明仁天皇の「おことば」は、3月11日という日付を、反原発ではなく追悼一色に塗り込めてしまうための、きわめて強い政治性をさえ発揮している。
 そして原発事故は、現在も続いている事態である。しかし「復興」を叫ぶ政府は、同時に原発再稼働に向けて前のめりになって進んでいる。彼らの言う「復興」とは、そういうものだ。「潜在的核保有」としての原発を推進した体制──山本義隆が言う、政・官・財一体となった"怪物的"権力によって、地元マスコミや学会から批判者を排除し、翼賛体制として成立したところの「原発ファシズム」──は、いまだ解体していない。
 私たちは、そのような現在進行形の「戦後」を問題とすることにおいて、日本の戦後を作り出した天皇制の責任、そしてその戦後をつねに肯定する役割を果してきた天皇制の責任を問い続けねばならない。このパンフは、そうした角度から反原発運動に合流していきたいと考えている私たちの、活動の記録でもある。(北野誉)

2012/04/18

モンスター27号[反天ジャーナル]

瞳を閉じて翼広げたら危ない?

東京も桜が満開、やっと身体が楽になってきたね。ちょっと前から気になってたのが、巷に「さくらソング」がいっぱいあること。桜が咲くと確かに浮かれたような気分になるのはわかる。それを歌にしたくなる気持も商売なのも、まぁ、わかる。けど、ありすぎ?

最近、こんな記事を目にした。「最近、紋切り型のJポップ歌詞が増えている気がしませんか?」。

大震災以後、マスコミでは「絆」や「つながる」という言葉や「頑張れ応援歌」が氾濫していて、居心地のわるい気分にさせられていたけど、その記事によると、なんと昨年の紅白歌合戦では、「出場歌手55組のうち、10組以上が〈信じて〉〈信じたい〉などのフレーズを歌った」そうだ。「シュールでとんがった表現より、大味でみんなが共有できるベタなアンセム(賛歌)が求められている」とも。ホントにそうかぁ?

ネット上では「翼広げ過ぎ」「瞳閉じ過ぎ」と批判がいっぱいあるそうだ。もし若い人たちがそう感じているのだとしたら、それは喜ばしいことね。そういうのが平気ってことは、考え方がステロタイプになってるってことだもんね。む〜 あたしも気をつけよっと。

【たまにはカラオケいきたい】

モンスター27号[主張]

原発再稼働阻止、
そして「植民地支配と日米安保を問う」連続行動へ!

原発再稼働をめぐる動きが急だ。4月6日、関係四閣僚は会合を開き、停止中の原発を再稼働させるための、きわめて甘い「安全対策の暫定基準」を決めた。そして近く関西電力大飯原発の安全宣言を行い、枝野経産省が再稼働要請のために福井県を訪問するというのだ。このニュースが手許に届く頃にはもう終わっているはずだが、4月11日には、「原発ゼロへ! 止めよう再稼働」を掲げた国会への要請行動とデモが予定されている。野田政権の再稼働政策を許さない声を、引き続き大きく上げていこう。

すでにひと月近く前になってしまったが、3月11日、私たちは、反天連も参加している福島原発事故緊急会議の枠で、3・11再稼働反対! 全国アクションによる「国会囲もう! ヒューマンチェーン」と、それに続く首相官邸前アクションに取り組んだ。この日は、首都圏でもさまざまな取り組みがあったが、この行動は、それらが大きく合流していく場として設定され、一万人を超える人びとが国会を「人間の鎖」で囲んだ。

しかし、これらの行動についてのマスコミの扱いはきわめて小さなものだった。前面に出ていたのは「追悼」である。それは、3・11の意味とは、震災とそれに続く津波で、たくさんの人びとの命が失われたということのみであり、したがって、反原発デモなどせずに、「全国民」は静かに祈りを捧げる日であるべきだ、と黙示的に主張しているかのようにみえた(実際、運動の中でさえ、そのように主張する人びとは少数ではあれ現実に存在した)。もちろん、原発の事故から一年でもあるこの日を、反原発の日にさせないための政治的な意志がそこに働いていたといえば言い過ぎだろう。そうではなく、多くの人の死という厳粛な事実を前にしてたじろがざるをえない当然の感情がこのように集約されたのであり、国家による「追悼」とはひとえに、それを政治的に組織することによって、国家の責任を解消させていくシステムであったと言わなければならない。

この、天皇も出席した政府による追悼式典の問題については、本紙「あにまる談義」や「皇室情報の解読」など別稿を見ていただきたいが、「病をおして」述べた天皇の「おことば」が、野田首相の式辞などと比べて踏み込んだ内容を持っていたことにもあらわれているように、象徴天皇制の政治的機能が、きわめて高度に発揮されたイベントであったことだけは間違いない。私たちは、引き続き、この式典がつくりだした政治的な意味、そして、そこで天皇制が果たした役割を批判していかなければならない。
ところで、国家的レベルで行われる儀式としての「追悼」が、社会的に過剰な「同調圧力」をもたらしたとすれば、それを戯画的な姿で表現したのが、街宣車の右翼たちだったろう。3・11のこの日、私たちもさまざまな右翼の罵声を浴び続けたが、彼らは「国民こぞって追悼すべき日に反原発のバカ騒ぎする反日極左」などとしきりにがなり立てていた。だが、そう言うなら自分たちこそ静かに家に籠もって「追悼」すべきである。2時46分に彼らが何をしていたのか知らないが、死者を利用して運動叩きに使っているだけの彼らの本質が、明白に示されたエピソードではある。

しかし、ただそれを嗤っていればいいということでは、やはりすまない。毎号、同じようなことばかり書いているようで気が引けるが、この間の右翼の突出、そしてそれを理由とした警察の規制のひどさである。3・11の「原発推進・天皇出席の震災追悼式典やめろ集会実行委員会」のデモに対する街宣右翼の妨害もひどかった。しかし、3・18の「だからこそ、反戦を!」デモに対する右翼によるデモ襲撃は、この間の右翼の暴力行為の中でも、最も悪質なものの一つであったと言っていい。この集会は、反天連も呼びかけ団体の一つとして名を連ねていたが、デモでは靖国通りに並んだ十数台の街宣車が、歩道側・車道側からひっきりなしにデモ隊へ突入してきた。彼らは沿道から石のようなものや卵を投げつけ、宣伝カーの窓ガラスが割られた。3・18の実行委員会では、これらに対する抗議と、物損への支援のカンパを呼びかけている(ブログ参照)。ぜひ、ご協力下さい。

そして、反天皇制運動の実行委員会としては、今年も4・29反「昭和の日」行動を準備している。前日の28日には、昨年に続き反安保実行委員会と共催で講演集会を持つ。今年はサンフランシスコ条約発効から60年、沖縄の「復帰」40年にあたり、健康問題でどうなるのかわからないが、秋には天皇の沖縄訪問も予定されている。私たちとしては、4・28〜29を、日本の「植民地支配と日米安保を問う」ための連続行動としてとりくむつもりだ。これも詳細は、同封チラシを見てほしい。連日さまざまな行動が予定されている。われわれもその課題を共有しつつ、できるかぎり共に取り組んでいこう!

(北野誉)

モンスター27号[扉]

大飯原発の再稼働をめぐっての報道をみるにつけ、どんどんげんなりしてくる。そもそも、「政治判断」で再稼働するためのプロセスなのだから、こうなることはなんとなくわかってはいたけど。あんなインスタントにでっちあげた「安全基準」を4人の閣僚が議論をして了承する、って訳わからん。そして藤村官房長官は、「定期検査で検査中の発電所の再稼働について、何らかの法律などの枠組みで同意などが義務づけられているわけではない」と言った。まったく人を食った発言としか思えない。

1年前、日本中の多くの人びとはあの大事故に恐怖を覚え、そして原発はダメだ、今すぐ「廃炉へ」と大きく動きだした。あの事故は他国の政策さえ変えたのだ。なのに! この国の政治家たちは、いったい何を大事に思っているのか。「国益」と称する利権か? 安倍晋三は「再稼働は必要だ。原発を止めてガス・石油に頼るとコストがかかる。日本が資源がない中において、安定的に発展をしていく経済成長した結果、今の社会保障の制度を積み上げる事ができた」と言い切った。積み上げたものはもうすでに崩れているし、どうやっても「安定的に発展していく経済成長」など、もうあり得ない。

この再稼働について、橋下大阪市長はかなり強い口調で反対していた。こういうスタイルが人気になるんだろうなぁ。6日付け朝日新聞朝刊では、「大阪市の理解を得ないまま再稼働に踏み切ってしまえば、橋下氏を敵に回して世論の支持を失いかねない状況だ」ときたもんだ。あぁ、もうサイアクだ。ホンキで日本人をやめることを考えたくなる。

ん? ここは「暴言」のコーナーじゃなかったか。

(ななこ)

2012/04/12

反天皇制運動 モンスター27号(通巻333号)


2012年4月10日発行


【動物(あにまる)談義】 "3・11追悼式典"の巻
 
【状況批評】 2×2=4、1+1=2(池田浩士)

 
【反天ジャーナル】 ・瓦礫問題雑感(まおう鳥)   
          ・イラン攻撃の秘密戦争ゲーム(核)  
【書評】 北九州ココロ裁判原告団編『「君が代」にココロはわたさない 学校現場に内心の自由を求め、「君が代」強制を憲法に問う裁判のあゆみ(北村小夜)

 【太田昌国の夢は夜ひらく】25  「海上の道」をたどる軍事力の展開―70年前の史実と、現在と―(太田昌国)

【皇室情報の解読】 天皇中心とする「祈り共同体」=「無責任の体系」にNOの声を!(天野恵一) 
 
【野次馬日誌】 3月2日~4月3日
【今月の暴言】⑮

【集会の真相】 ・3・11原発ゼロへ!国会囲もうヒューマンチェーン 
・3・11原発推進・天皇出席の震災追悼式典―全国一斉黙祷反対!(野村/3・11原発推進・天皇出席の震災追悼式典やめろ実行委)
・「82年『反核フィーバー』とは何であったのか」(「運動史から振り返る原発と原爆第2回」) 

 【反天日誌/集会情報/神田川】


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2012/04/11

4・29植民地支配と日米安保を問う ― 反「昭和の日」集会とデモ



今年の反「昭和の日」行動は、サンフランシスコ講和条約発効から60年の4月28日
に、戦後の日本が通ってきた歴史的現実を踏まえながら、沖縄の現在や、私たちの目の前にある問題を考える講演集会を反安保実行委員会と共催で持つ。
そして4月29日。昭和天皇ヒロヒトの誕生日であるこの日。今私たちが考えなければいけない課題は、押しつぶされそうなくらいたくさんある。だが、 その課題のひとつひとつを突き詰めていくと、敗戦後の天皇制をはじめとする「昭和」の歴史にその根っこが見えてくる。今回はそんないろんな課題をたくさん 集めて語ってもらう。そのなかから、「昭和」の歴史、ヒロヒトおよび天皇制がになってきたものを再検証するような集まりとしたい。


日時 2012年4月29日(日)  
   
     午後1時半開始

場所 日本キリスト教会館4F
     (地下鉄東西線早稲田駅3b番、2番出口から徒歩5分)
     
    8分間スピーチ 反戦・反基地・反自衛隊
              反ナショナリズム/反日の丸・君が代
              反原発/反改憲/反安保/反弾圧・・・・・
     集会後デモ

資料代 500円

主催 反「昭和の日」実行委員会
  http://2012429.blogspot.jp/

【呼びかけ団体】アジア連帯講座/アンポをつぶせ!ちょうちんデモの会/キリスト教事業所 連帯合同労働組合/国連・憲法問題研究会/立川自衛隊監視テント村/反天皇制運動連絡会/「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国・天皇制問題情 報センター/労働運動活動者評議会
    

60年目の「沖縄デー」に植民地支配と日米安保を問う - 4・28集会

 4・28~4・29連続行動
60年目の「沖縄デー」に植民地支配と日米安保を問う
 
講師
新垣 誠さん(写真家、沖縄NGOセンター代表理事)
「『本土復帰』40年と沖縄の現在」

太田昌国さん(編集者、民族問題研究者)
「戦後日本国家と継続する植民地主義」

[日時]2012年4月28日(土) 午後6時開始
[場所]文京区民センター・2A会議室(地下鉄・春日駅/
後楽園駅)


 主催:反安保実行委員会+反「昭和の日」実行委員会

  
 侵略戦争の敗北そして6年半にわたる占領を経て、1952年4月28日、日本は再び独立した。
 しかし、サンフランシスコ講和条約は、ソ連、中国、台湾そして朝鮮半島の国が加わらない「片面」であり、その内容は、旧植民地出身者を日本国籍から一方的に切り捨て、さらに、沖縄戦以降、米軍占領下に置かれ続けた沖縄をアメリカに「法的に」に「売り渡す」ものであった。沖縄では、米軍の「銃剣とブルドーザー」による大規模な土地接収が50年代に強行され、米軍基地の整理縮小が進んだ「本土」とは対称的に過酷な基地負担を背負わされることになるのである。さらに、東南アジア諸国に対する日本の戦後賠償も東西対立下のアメリカの戦略によって切り縮められた形の講和となったのである。
 大日本帝国(天皇制国家)による植民地支配・侵略戦争の反省や補償のスタートとなるべき敗戦・占領からの「出口」は、かくも大きな問題を孕むものであった。そしてそれらは、60年経った今日までも解決のされない大きな課題として私たちの前にある。
サ条約発効から60年の日、この戦後の歴史を踏まえながら、現前の問題に取り組むべく講演集会を持つ。そしてそれは、翌日の「昭和の日」に真に記憶されなければ「昭和の歴史(=ヒロヒトの戦争・戦後責任)」と密接に結びつくものでもある。
是非ご参加を!

2012/04/09

植民地支配と日米安保を問う  4・29反「昭和の日」行動実行委員会へのよびかけ

植民地支配と日米安保を問う
 4・29反「昭和の日」行動実行委員会へのよびかけ

 震災・津波、そして東京電力福島第一原子力発電所の事故より1年目がすぎた。事故の処理はなにひとつ満足な解決をみていない。福島県はもとより、それ以外の地域でも至る所に被害は及んでいる。被害者は当たり前の暮らしを取り戻すことさえまだできていないし、そのための賠償問題も遅々として進んでいない。1年目の3月11日、政府主催による「東日本大震災一周年追悼式」が、天皇夫妻の出席のもと行われた。病気をおしてまで出席した天皇の役割とは、優しい微笑みの裏で事故の責任者を名指すことを回避し、被災者に我慢を強い、さらに原発再稼働という政治意思に示されているような震災前の「秩序」へと、社会を再び統合していくことでしかない。3月11日、震災と原発事故がおきたこの日を、政府とマスコミは、ただ震災とそれによって生み出された死者「のみ」を追悼する日として組織した。事故や放射能について口にした天皇の「お言葉」も、国家による追悼の空間に、すべての「国民」を集約するものとして発せられたのである。戦争責任をとらないまま毎年8月15日に「全国戦没者追悼式」が行われていることと同じ構造が新たにつくられていくこと、また3月11日という日が、新たな「慰霊の日」となることに、私たちは憤りを感じざるをえない。

 まもなく、昭和天皇ヒロヒトの誕生日である4月29日、6回目の「昭和の日」がやってくる。今年は1952年4月28日のサンフランシスコ講和条約が発効されて60年目にあたる。ヒロヒトは自らの名で侵略と植民地拡大のための戦争を遂行し、沖縄戦の最中に米軍に占領された沖縄に、長期にわたって米軍が駐留を希望するメッセージを、政府の頭越しにアメリカの国務長官クラスに送るなど暗躍し、安保体制の枠組みを作りだした。敗戦後、サンフランシスコ講和条約によってそれは明文化され、日本の「独立」と引き替えに、今現在に至るまで沖縄の人々は米軍による好き勝手な土地使用に苦しめられることとなった。米軍の「銃剣とブルドーザー」による大規模な土地接収が強行され、米軍基地の整理縮小が進んだ「本土」とは対称的に過酷な基地負担を背負わされることになるのである。さらに、東南アジア諸国に対する日本の戦後賠償も、東西冷戦下のアメリカの戦略によって切り縮められた、日本の経済進出の足がかりとなるかたちでの講和となったのである。本来であれば大日本帝国(天皇制国家)による植民地支配・侵略戦争の歴史を清算し、反省や補償のスタートとならなければならなかった敗戦・占領からの「出口」は、かくも大きな問題を孕むものであった。

 そして今年は沖縄が「本土復帰」してから40年という年でもある。「本土復帰」後の沖縄は、日本の「国内植民地」とも言える状態でアメリカ・日本の戦略に組み込まれている。このことに規定された今日の基地問題、地位協定の問題など、解決されない大きな課題として私たちの前にある。

 今年の反「昭和の日」行動は、サンフランシスコ講和条約発効から60年の4月28日に、戦後の日本が通ってきた歴史的現実を踏まえながら、沖縄の現在や、私たちの目の前にある問題を考える講演集会を反安保実行委員会と共催で持ち、翌日29日には「昭和」の歴史(=ヒロヒトの戦争・戦後責任)に向きあい、発言し、行動する、28~29日の連続行動を予定している。多くのみなさんの参加と賛同、協力をよびかけたい。

植民地支配と日米安保を問う 4・29反「昭和の日」行動実行委員会 
  http://2012429.blogspot.jp/

【呼びかけ団体】アジア連帯講座/アンポをつぶせ!ちょうちんデモの会/キリスト教事業所連帯合同労働組合/国連・憲法問題研究会/立川自衛隊監視テント村/反天皇制運動連絡会/「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国・天皇制問題情報センター/労働運動活動者評議会

2012/03/31

3.18「だからこそ、反戦を!」デモへの右翼の襲撃・暴力を許 すな!  ──抗議とカンパの要請──


2012年3月18日、私たちは、新宿で「だからこそ、反戦を!」集会とデモに取り組んだ。
私たちのデモは、防衛省先から曙橋にいたる靖国通りで、右翼によ
る激しい妨害と暴力に直面した。

靖国通りに並んだ十数台の街宣車は、デモ隊に対して大音量で罵声
を浴びせ続け、車を降りてきた右翼たちは、歩道側・車道側からひっきりなしにデモ隊へ突入した。彼らによって、蹴られ、押し倒された参加者もいた。さらに彼らは沿道から石のようなものや卵を投げつけ、またペットボトルの水をまいたりした。とりわけ危険だったのは、デモコースの道路をまたぐ歩道橋の上に右翼が陣取っていたことだ。そこからデモ隊に物が飛んできたが、大きな石でも落とされれば、死者が出ても不思議はない状況だった。さらに、ポリタンクに入れた正体不明の液体を、歩道橋からデモ隊に浴びせようとして仲間に止められていた右翼も目撃されている。中身は一体なんだったのか。水であれば、当然止められることはなかったはずである。

横断幕やプラカードは奪われ、破られ、旗棹は折られた。ドラム隊
は「うるせんだよ」と怒鳴られ、蹴られ、楽器を奪われかけた。デモへの右翼の突入を阻止する過程で何人かの負傷者も出た。

とくに、宣伝カーに対する攻撃は激しかった。宣伝カーの前に座り
こんだり、車体を叩いたりする。ドアを開けて乗り込もうとする。バンパーは破損し、後部座席歩道側の窓ガラスが割られた。そこから車内に入り込もうとした右翼は、口に含んでいた水を、運転手らに吹きかけた。運転手への攻撃によって運転を誤れば、人身事故にもつながりかねないだろう。

一連の右翼の暴力によってデモ隊は大きく乱されたが、コールやド
ラムはとぎれることなく、最後までデモは貫徹された。

今回の右翼の暴力が、きわめて計画的なものであることは、彼らが
用意周到にも準備していたさまざまな投擲物によっても明らかである。そしてデモコースと通過時間のタイミングからして、事前に公安警察から情報が流されていた可能性はきわめて高い。警備も右翼を規制するよりも、デモ隊を早く進めさせることに専念し、車道側からデモ隊を押して混乱をより拡大させた。宣伝カーの窓ガラスを壊した右翼も、その場で警察によって身柄をひきはなされはしたが、逮捕されることもなくすまされている。こうした点において、私たちは、右翼にたいして甘く、むしろそれを口実にデモを規制していくという警察のあり方が、あらためて露呈したと指摘せざるを得ない。

「だからこそ、反戦を!」という私たちの声を暴力で圧殺しようと
した右翼たちの行為それ自体に、彼らの戦争や軍事、暴力を賛美する彼らの意志がはっきり現れている。と同時に、私たちは、今回の暴力行為が、たんに反戦運動に対する敵対であるばかりでなく、デモという表現行為全体に向けられた攻撃でもあったということを、再度確認しなければならない。暴力で抗議の声をつぶしていこうとする行為は、とくに3.11以降拡大している、街頭におけるさまざまな政治的表現を分断し萎縮させていこうとする、権力の政治意志と確実に連動しているのだ。だからこそ、右翼とそれを利用した警察のデモ弾圧を弾劾する声を、さまざまな運動を共にする多くの人びととともに、何度でも上げていきたいと思う。

*物損をはじめとした当日の被害(
他団体から借用した宣伝カーの修理費に、最低でも10万円以上かかります)に対して、支援のカンパを呼びかけます。運動つぶしに屈せず、行動を持続していくためにも、ぜひご協力をお願いします。
ご協力頂ける方は、以下の振替口座に、3.18カンパと明記して
ご送金下さい。

郵便振替口座番号 00150-9-466604 

加入者名 反安保実行委員会 


2012年3月31日


3.18集会呼びかけ団体

沖縄を踏みにじるな!緊急アクション実行委員会
戦争に協力しない!させない!練馬アクション
立川自衛隊監視テント村
反安保実行委員会
反天皇制運動連絡会
有事立法─改憲阻止 反帝国際連帯 反戦闘争実行委員会

抗議文 警察は右翼を利用したデモ弾圧をやめろ!


抗議文 警察は右翼を利用したデモ弾圧をやめろ!

警視庁警備部長殿


  2012年3月18日、私たちは、新宿で「だからこそ、反戦を!」集会とデモに取り組んだ。

 私たちのデモは、防衛省先から曙橋にいたる靖国通りで、右翼による激しい妨害と暴力に直面した。

靖国通りに並んだ十数台の街宣車は、デモ隊に対して大音量で罵声
を浴びせ続け、車を降りてきた右翼たちは、歩道側・車道側からひっきりなしにデモ隊へ突入した。彼らによって、蹴られ、押し倒された参加者もいた。さらに彼らは沿道から石のようなものや卵を投げつけ、またペットボトルの水をまいたりした。とりわけ危険だったのは、デモコースの道路をまたぐ歩道橋の上に右翼が陣取っていたことだ。そこからデモ隊に物が飛んできたが、大きな石でも落とされれば、死者が出ても不思議はない状況だった。さらに、ポリタンクに入れた正体不明の液体を、歩道橋からデモ隊に浴びせようとして仲間に止められていた右翼も目撃されている。中身は一体なんだったのか。水であれば、当然止められることはなかったはずである。

横断幕やプラカードは奪われ、破られ、旗棹は折られた。ドラム隊
は「うるせんだよ」と怒鳴られ、蹴られ、楽器を奪われかけた。デモへの右翼の突入を阻止する過程で何人かの負傷者も出た。
とくに、宣伝カーに対する攻撃は激しかった。宣伝カーの前に座り
こんだり、車体を叩いたりする。ドアを開けて乗り込もうとする。バンパーは破損し、後部座席歩道側の窓ガラスが割られた。そこから車内に入り込もうとした右翼は、口に含んでいた水を、運転手らに吹きかけた。運転手への攻撃によって運転を誤れば、人身事故にもつながりかねないだろう。

私たちは、一連のこれら右翼の暴力が、警察による黙認のもとでお
こなわれたばかりでなく、それを口実として警察による不当なデモ規制が強められたことに、強い怒りを持つものである。デモコースに、通過時間のタイミングをはかったように待ちかまえていた街宣車と右翼メンバー。

 警察はそのことを把握していたにもかかわらず、事前に排除することもせず、彼らがデモを攻撃する場所を準備した。右翼たちがデモ襲撃をあらかじめ公言していた以上、彼らの暴力行為が実行されることは明白だったのであり、最悪の場合、多数のけが人が出ることも予想された。まさに、右翼の暴力を警察は黙認したばかりか、その実行に加担さえしたのである。そもそも、デモコースと出発時間に関しても、公安警察から情報が流されていた可能性はきわめて高いと私たちは考えている。

右翼の突入によって引き起こされた「混乱」にあたって、警備は、
突入する右翼を止める制止することはしたものの、警備の外側では右翼は自由に行動させた。それどころか、右翼を規制するよりも、デモ隊を早く進めさせることに専念した。車道側からデモ隊を押して隊列を狭め、その結果車道側の右翼と接触させるなど、警察は混乱をより拡大させた。

宣伝カーの窓ガラスを壊した右翼も、その場で警察によっていった
ん身柄をひきはなされはしたものの、逮捕されることもなくすまされている。目の前で不法行為が行われているのに、警察は一貫して彼らを本気で取り締まろうとはしないのだ。こうした点において、私たちは、警察の目的が、右翼を口実にデモを規制していくところにあったということを、あらためて実感させられた。

いうまでもなくそれは、デモという基本的人権の根幹である表現の
自由の侵害であり、警察権力の、右翼による犯罪行為への加担である。
警察は人権侵害をするな! 当日の警備状況について反省し、謝罪せよ!

2012年3月31日

3.18集会呼びかけ団体
沖縄を踏みにじるな!緊急アクション実行委員会
戦争に協力しない!させない!練馬アクション
立川自衛隊監視テント村
反安保実行委員会
反天皇制運動連絡会
有事立法─改憲阻止 反帝国際連帯 反戦闘争実行委員会

2012/03/20

モンスター26号[集会報告]

2・11反「紀元節」行動

厳しい寒さが一瞬やわらいだ一日だった。穏やかな陽射しを受けながら「一人の逮捕者も、一人の怪我人も出ませんように」とつい願ってしまう。大逆事件から100年以上の時間を経た現代においてもなお、反天皇制を掲げる私たちが身の危険を感じなければならないことこそ、「国民の総意」ではなく、天皇制は暴力によって維持されてきたことを示す。会場である日本キリスト教会館には、「会場を貸すことをやめなければ、若い奴が行って、ぶっ放すぞ」との脅迫電話が入ったという。電話の主を確認することが出来ないので、相手が公安警察か右翼なのかわからない。デモ申請直前にデモコースを変更した。実行委メンバーがその報告を受ける前に、そのデモコースにぴったりのカウンター行動の場所が右翼のブログに載っている。瞬時に警察から情報が流されているということだ。そして、デモコースには「日本侵略を許さない国民の会」「在日特権を許さない市民の会」グループと右翼街宣車との棲み分けがなされている。警察は「ぶっ殺せ!」と叫ぶ彼らのために、明治通りを通行止めにしてまで場所を用意する。「左翼対右翼」という図式などない。そんなものはインチキであると私は言いたい。その図式こそ、警察が書きたいものではなかろうか。そのような土俵で議論することの愚かしさを、警察によって配置された右翼の罵声をあびながら実感する。

戦後日本国家が行き着いた原発災害から、もうすぐ一年だ。あらゆる「危機」の時代。私たちは四つの課題を立て、議論するなかで現在の状況を読み取っていこうと、今回四人の方に発言してもらった。

京極紀子(「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会)による「ポピュリズムの政治?─ハシズムの暴走を止めよう」。桜井大子(女性と天皇制問題研究会)による「『女性宮家』構想という問題」。なすび(福島原発事故緊急会議・被曝労働問題プロジェクト)による「『紀元節』に考える格差・差別と脱原発・反原発」。村上陽子(ゆんたく高江)による「沖縄と天皇制─沖縄文学の視点から」(敬称略)。各人の発言はこれから出る報告集をごらんください。

4人の方はそれぞれの場所から、現在を問題化する。その繋がりの中で、私たちは2・11反「紀元節」行動を無事にやり遂げることができた。参加者80名である。回を重ねるごとに既成事実化され、平然となされる不当な弾圧に対し実行委は警察に公開質問状を提出した。
(桃色鰐/2・11反「紀元節」行動実行委)

モンスター26号[今月の暴言]

また出た。「南京大虐殺はなかった」発言。今までも何回も出ては、そのたびに発言者は撤回したり、周りは事態の収拾にあわてたり、ネトウヨが持ち上げたり。今回の発言者、河村たかし名古屋市長の場合も基本的には同じだ。ただ、彼は撤回はしないという。この南京大虐殺の論議は結局は数の話で終始している。中国側は犠牲者30万人というのを公式な数としているが、日本側は2万人から50万人まで意見が分かれる。河村市長は「30万人という虐殺はなかった」という趣旨にして逃れようとしている。この数の差は明確な証拠がない以上、埋まりようもない。でも、2万人も30万人も大量には代わりはない。暴言である。ではあるが、ともするとそんなことはなかったかのようにしてしまう「日本人」には、「南京大虐殺」の事実を思い出すチャンスかもしれない。このことによってSKE48が公演する予定だった日中共催の文化イベント「南京ジャパンウイーク」が延期になったそうだ。若い人たちにも、どういうことがあったのか、数ではなく事件そのものを知ってほしい。 (貂)

モンスター26号[主張]


右翼と警察の密通を許さない!

2月11日の反「紀元節」行動は、反天連も呼びかけ団体となっている実行委員会の主催で、今年も集会・デモを貫徹した。11日という日付は、3・11を経験して以降、福島原発事故の節目の日ともなっていて、今年の2・11は各地で反原発行動がとり組まれた。私たちの行動はその日と完全に重なるため参加者が少ないのでは、と心配していたが、例年よりも少ないものの80人以上の参加者で集会・デモを行うことができた(「集会の真相」参照)。反天連メンバーもこの日は、午前中代々木公園で行われた「再稼働NO、テントを守ろう」2.11前段集会に参加。午後からの「2・11さようなら原発1000万人アクション全国一斉行動 in 東京」の前段集会という位置づけだったが、私が着いたころには、大勢の人が集まっていた。私たちは反「紀元節」行動の準備のため、途中で抜けたが、午後の代々木公園は、1万2000人が集まった。

3・11原発事故は、原発・放射能汚染そのものの恐ろしさを改めて思い知らされたとともに、格差社会が作りだす多くの社会問題と原発が通底していることを浮き上がらせた。そして、天皇制の前提となる「身分」制度=差別構造が、下層労働者・命を削る仕事を引き受けざるを得ない人々を作りだし、そのことを前提に「富」を作りだす産業・経済システムを容認するこの社会のありようを、反天皇制の視点で広く社会問題化する必要を、私たちは改めて認識することとなった。

「紀元節」とはいわば、この「身分」制度を支える万世一系思想を容認させるための装置としてある。神話に基づく「紀元節」=「建国記念の日」は、天皇制にとってはもっとも重要なイベントなのだ。政府式典がなくなったことに読み取られるように、国家の側がその神話性と合理的な政治システムとしての天皇制の整合性に苦労しているのは事実としても、だ。今年は3・11以降初めての反「紀元節」であったが、集会の主要な課題は、あらためて差別構造の元凶としてある天皇制批判の色が濃いものとなったといえる。

当日は、毎度のことだが右翼の妨害と警察の不当なデモへの介入があった。今回も実行委と警察以外は知りようもないデモコースは、つねに右翼に先取り的に占拠されていた。今回もデモ申請したその夜には、私たちの行動に対するカウンター行動を呼びかける右翼のブログに、デモ申請の内容を把握しているとしか思えない、正確な集合時間と彼らの集合場所が明記されていた。ブログにある「反天連は16時頃出発予定です」とは何を根拠に書いているのか。警察が情報を流し、右翼側と打ち合わせをし、デモコースの両側に右翼街宣車を数十台も停めさせ、私たちのデモに暴力的な妨害をしかける場所を与えている、と私たちがそのように考えるのはあたりまえではないのか。

実行委は3月2日、デモ申請を行った警視庁戸塚警察署に公開質問状を提出し申し入れした。申し入れは戸塚署だけだが、宛名は警視庁警備部長・同戸塚署長・同新宿署長の三者で、後日送付した。この行動については2・11行動とともに実行委の報告(ニュースレター)で報告する予定だ。警察の今後の対応を含め、ぜひ注目してほしい。 

白昼堂々行われる右翼の無法で暴力的な妨害、それを取り締まるという口実で出てくる警察が、実際はそのお膳立てをしているという茶番のような構造。この排外主義・暴力的な言論と行動を繰りかえす右翼と、それを構造的に守りつづける警察、その警察が守る天皇制社会。反天皇制の運動はこれらとの対峙を避けてはできないのだということを、改めて認識させられるのだ。こういった問題をも反天皇制の運動を通して明らかにしていきたい。

橋下率いる大阪維新の会の躍進や、最近の河村たかし名古屋市長の「南京事件はなかった」発言など、この国の社会全体の右傾化が一段と進む中で自民党は「天皇の元首化、自衛軍保持、国旗国歌の尊重規定」を盛り込んだ「憲法改正原案」を今国会に提出するという。成立の見通しはないとのことだが、今の橋下ブームに乗り、今なら、「ひょっとして受け入れられるかも」的なことなのか、とりあえずぶちあげておいて、最終的にはその改憲案の中から少しでもとり入れられればという思惑なのだろう。この改憲案、そして女性宮家問題、3・11国家による東日本大震災追悼式への天皇の出席などの動向をしっかりと見極め反天皇制の声をあげていきたい。

反天連も参加している反天実行委は4月29日の反「昭和の日」行動の準備を進めている。前日の28日には、反安保実行委と共催で「60年目の『沖縄デー』に植民地支配と日米安保を問う」集会をもつことになった。ヒロヒト賛美の歴史偽造の「祝日」を許さない4・28─29連続行動へ結集を! また、反天連は他団体と共同して、3・18「だからこそ、反戦を!」集会とデモを呼びかけている。3・11の国会包囲行動もある(インフォメーション、チラシ参照)。鈴なりの行動であるが、多くの方の参加を呼びかけたい。  
                                                 (上平学)

2012/03/19

反天皇制運動 モンスター26号(通巻332号)

  2012年3月6日発行

 【扉】(宮)
 【主張】右翼と警察の密通を許さない!(上平学)
【貝原浩のあの時この時】Can you forgive them?(天野恵一)
【状況批評】福島原発事故から一年・・・・・・運動バッシングについて(近藤和子) 
【反天ジャーナル】・「当たり前~にびっくり」(戦闘的ゴジラ主義者)   ・「知る権利」が奪われる!情報隠しの「秘密保全法」(なかもりけいこ)   ・「東電撤退」拒否と民間事故調の怪(微笑女)
【書評】「日の丸・君が代」強制反対ホットライン・大阪編『だれのための「教育基本条例」なんですか?』(梶川涼子)
  【ネットワーク】連続講座「運動史から振り返る原発と原爆」にご参加を(山口響)
【野次馬日誌】2月2日~3月1日
【集会の真相】2・11反「紀元節」行動(桃色鰐/2・11反「紀元節」行動実行委)  ・2・15防衛省ど真ん中前デモ報告(村山森哉/沖縄を踏みにじるな!緊急アクション実行委員会)  ・2・25「日の丸・君が代」の強制を跳ね返す神奈川集会とデモ報告(大友深雪/「日の丸と君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会)
【反天日誌/集会情報/神田川】


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2012/02/16

モンスター25号[今月の暴言]

今月の暴言 ⑬

3月11日を前に、原発事故の幕引きを企む動きが活発化している。外務省で原子力交渉に携わった金子熊夫や、元東電取締役で日本原子力学会会長でもあった宅間正夫ら、原発の甘い汁を啜った連中が、NHKの放送した低線量被曝と国際基準の問題に触れた番組に対して「抗議」したのもその一つだ。「客観的なデータと理性を無視して原子力に反対……反対派の多くは長年この手の手法を使ってきました」「(今回のNHK報道は)環境修復や避難民帰還のハードルを著しく高める」「福島県の住民自身を一層不安に陥れ復帰を断念させうる」「放射線への恐怖が、医療現場での放射線診断を拒否し手遅れになるという可能性」……(「東京新聞」2月1日)。彼らは、原子力ムラの「健在」をアピールし、再稼働を狙うだけではない。かつてのABCCさながら、被曝データに舌なめずりしながら原発の輸出をめざす。反対派やメディアへの攻撃も、日に日に組織化されている。
(蝙蝠)

モンスター25号[反天ジャーナル]

生きてるうちが花なのか

森﨑東の映画「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」の上映と、その脚本家の話を聞く会があった。この間の反原発運動のなかで、あらためて注目され、各地で上映会が持たれているという。僕も公開翌年くらいには見ているのだが、細かいところはすっかり忘れていた。とりわけ、被曝労働者の現実が、これほど細かく描かれていたのかと。もちろんそれは、観る側の関心の強度というものにかかわっているわけである。

実は、「新宿芸能社シリーズ」とか、「女は度胸」「男は愛嬌」とか、結構森﨑映画は好きなのだが、これらと同様に市井の(というよりは下層の)バイタリティに満ちた群像が魅力的。だが、忘れ難いのは美浜の娼婦、「アイちゃん」である。とくに彼女が夜中の海岸で、自分が生まれてからいまに至るまで出会った人たちの名前を、一人ひとり数え上げていくシーン。映像は原発内部の労働者のリアルな姿(樋口健二さんが紹介するような)に切り替わり、それに名前を呼び出す声が重なっていく。名前の最初には、筑豊出身の子ども時代の彼女を抱っこしてくれたらしい、朝鮮人や沖縄人を多く含む炭鉱の人びとの名前がある。また、沖縄出身の主人公は、各地の言葉が交じり合った「方言」を使う。これらの「声」に、生の流動とその起点とを想った。
【北】

モンスター25号[主張]

今年も抵抗の声をあげるぞ! 2・11行動へ!

1月16日、「君が代」処分問題で最高裁が判決を出した。昨年も複数の訴訟に対する同時判決が言い渡されたが、今回も3件の同時判決言い渡しとなった。なんとも誠意のない話である。上告人は併せて171人。うち停職処分2人、減給処分が1人、あとの168人は戒告処分。減給1ヶ月の渡辺厚子さんと、停職1ヶ月の河原井純子さんは処分取り消し。そして停職3ヶ月の根津さんと戒告の168名に対しては上告を棄却。いわゆる「分断判決」だ。公表されている根津さんの言葉を少し紹介したい。

「積極的な妨害とはいえない不起立については救済の対象=減給以上の処分は違法、しかし、根津のように積極的に妨害、批判する者は許さない=停職処分は違法ではないとした判決でした。一方に救済する者を作り、そこを落としどころとして、しかも根津には止めを刺し、それを以って今後不起立をしようと思う教員に対する見せしめとする。裁判所はこうして、『君が代』裁判に幕を閉じようとしているように思う。終わった問題とすることで現場の教員たちの『君が代』強制に対する疑問や抵抗感を一掃し、闘いを潰す狙いがあったのではないか、と思います」。多くの人々の関心と注目をここで終わらせることなく、次につなげるための言論と行動の継続が求められていることをを痛感するのみ。ともに声をあげたい。

その2週間後の1月30日、土肥信雄元都立三鷹校長に対する敗訴判決が東京地裁で下された。学校運営を職員会議で決めるのは不適切との理由で職員会議での挙手や採決を禁じた都教委に対し、「民主主義的な議論を奪う」と校長会やメディアで繰り返し主張してきた土肥校長が、そのことを理由に退職前に受けた非常勤教員の採用に不合格となったというのが訴訟までの経緯らしい。詳細を知らないまでも、しかし判決のおかしさだけはよくわかる。都教委の通知に対し「挙手によって校長の決定権が拘束されていた一部の都立高校の状況を改善し、校長が権限を十分に行使できる環境を整えるためのもの」「教育への不当な支配にもあたらない」とし、そのような通知に異議申し立てする校長に対し「自分の考えに固執する姿勢からは職責を十分に果たせるとは考えられない」という理由で再雇用を拒む都教委の判断は不合理ではない、というのだ。

校長に絶大な権限を与えその校長を牛耳る、というこれまでの文科省や都教委の思惑をそのまま判決にしたような例だ。日本社会の歴史認識や価値観を育てる教育現場であるからこその締め付けなのだ。その下で闘いをいどむ教職員への連帯、民主主義を育ててはならぬという教育行政に介入しうる言論、どのような運動のあり方が可能なのか、引き続き問うていきたい。

自明のことだが、いまの日本社会を真っ黒にしているのはこの教育問題だけではない。すでに一年が経とうとする3・11で、潜在的にあった原発問題が抜き差しならないものとして大きく私たちの眼前にあり続けている。また、3・11以前からとり組まれていた諸課題の深刻さが、原発問題の大きさと緊急性によって、緩くなるはずもない。運動的にはかなり厳しい状態にありつづける。だが、これまで積み上げられてきたそれぞれの運動が、司法を動かし、行政の勢いをそぐ力としてあり続けていることも忘れてはなるまい。先の「君が代」処分の一部勝訴もその結果である。あきらめてはそこで終わりなのだ。

反天連はここ数年以上、戦後の国家再建に関わるところで学習会をつみあげてきた。そこで見えてきたことは、現在の原発問題・基地問題を筆頭に、米国と、戦前から力を蓄えてきた日本政財界の権力者たちが織りなす、妥協と相互依存と結託と密約などのもろもろである。そして、敗戦直後からの日本政府や右派・保守陣営の巻き返しのための執拗な活動の結果が現在の日本社会である。だが、どの局面においてもそれぞれに対抗言論、抵抗運動はあり続けたし、その結果の現在でもある。そして、この「未曾有」のこの局面においても、抵抗の人々は少なからずいるのだ。

私たちは例年どおり2・11反「紀元節」行動を実行委とともにとり組む(チラシ参照)。天皇制はかなりのピンチ状況にあるが、これまでもそうであったように粘り勝つつもりでいるらしい。私たちは「女性宮家」問題、政府主催による3・11式典等々、目前の課題に一つずつ取り組んでいくしかない。2・11を皮切りに今年も反天皇制の行動は街頭にも出て行く。多くの人々と問題意識を共有し、小異を捨てずに大同を模索する方向で頑張りたい。多くの方の参加を! ともに!
(桜井大子)

反天皇制運動 モンスター25号(通巻331号) 2012年2月7日発行

2012年2月7日発行

【扉】  (ぐずら)

【動物(あにまる)談義】"金正日Xデー"の巻
【状況批評】石油と国連常任理事国入りと「対テロ戦争」のための自衛隊スーダン派兵に反対しよう(池田五律)
 

【反天ジャーナル】・「そんなに多いわけじゃない」!?(ねこまた)
            ・ 生きてるうちが花なのか(北)
            ・「福島からあなたへ(微笑女)
 【太田昌国の夢は夜ひらく】23 「敵」なくして存在できない右派雑誌とはいえ・・・・・・(太田昌国)
【皇室情報の解読】 〈3・11〉災後一年の状況下で宣言された〈廃太子〉行動のゆくえ(天野恵一)
【声明】国家による死者の纂奪を許すな! 天皇出席の3・11「東日本大震災追悼式」に反対する
【書評】武藤一羊著『潜在的核保有と戦後国家』
     山本義隆著『福島の原発事故をめぐって』(栗原幸夫)
【ネットワーク】「原発? No, thank you!」ヨルダンの国会議員・弁護士は訴える報告(田浪亜央江) 【野次馬日誌】1月5日~2月1日
【集会の真相】・『首相官邸ど真ん前デモ』及び首相官邸申し入れ行動報告(北守/沖縄を踏みにじるな!緊急アクション実行委員会)
・自衛隊の南スーダン派兵を許すな(梶野/反安保実)
【反天日誌/集会情報/神田川】


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2012/02/01

【反天連声明】
国家による死者の簒奪を許すな!
天皇出席の3.11「東日本大震災追悼式」に
反対する


2012年2月1日
反天皇制運動連絡会

1月20日、政府は「東日本大震災1周年追悼式」を開催することを閣議決定し、内閣府に「追悼式準備室」を設置した。報道によれば、「追悼式」の会場は東京都の国立劇場で、1500名の規模。「地震発生時刻の午後2時46分に1分間の黙祷をささげる」「実行委員長を務める野田佳彦首相の式辞や、天皇陛下のお言葉、岩手、宮城、福島3県から招く遺族代表のあいさつなどを予定している」という。


1年前のこの日、筆舌に尽くしがたい惨事が東北を中心とする人びとを襲った。それまでの生活は一瞬にして破壊され、たくさんの命が失われた。それを目の当たりにした人びとにとって、また、そういった人びとに直接繋がる人びとにとって、この日が特別の意味をもつことは当然であり、失われた命に思いを寄せ、その死を悼むことはあたりまえの感情である。だが、国家が「追悼式」において果そうとしていることは、国家がそういった人びとの感情をすくい取り、さまざまな人の持つ多様な思いを、ある種の政治方向へと集約していくことにほかならない。だからこそ私たちは、国家による「追悼式」をけっして許すことはできない。


野田首相は、1月24日の施政方針演説で次のように述べている。「大震災の発災から1年を迎える、来る3月11日には、政府主催で追悼式を執り行います。犠牲者のみ霊に対する最大の供養は、被災地が一日も早く復興を果たすことに他なりません。……東日本各地の被災地の苦難の日々に寄り添いながら、全ての日本人が力を合わせて、『復興を通じた日本再生』という歴史の一ページを共に作り上げていこうではありませんか」。


「犠牲者のみ霊に対する最大の供養」が「復興」であるという。これは、例年、8月15日に天皇出席のもとで行なわれる「全国戦没者追悼式」における、国家による死者の「追悼」の論理とそっくりである。私たちは、毎年、「全国戦没者追悼式」への反対行動に取り組んでいるが、それは、戦争の死者を生み出した責任の主体に他ならぬ日本国家が、その死者を「戦後日本の繁栄」をもたらした存在として顕彰することによって意味づける儀式であるからだ。そこに決定的に欠落しているのは、その死をもたらした戦争に対する反省の意識である。国家がなすべきことは、戦争の死者を褒め称えることではない。被害者(戦場に駆り出された兵士たち、空襲や原爆投下などによるおびただしい死者、そして日本の植民地支配と侵略戦争によって生み出された他民族の被害当事者と遺族たち)にたいして責任を認めて、謝罪と補償(恩給などというものではなく!)を行うことである。


この8.15と同様の政治が、3.11においても起動されようとしている。そして8.15において隠蔽されるものが国家の戦争責任であるとすれば、3.11において隠蔽されるものは国家の「原発責任」とでも言うべきものである。


野田の演説において、地震・津波災害と原発事故災害とは、たんに並列されているだけである。地震・津波の被害をあれほどに拡大させてしまった責任は国にもあるはずだが、それ自体は「自然災害」ではあろう。しかし、それによって起こされた原発事故は100%の人災である。国家的なプロジェクトとして原発を推進し続けた国に、事故の根本的な責任があることは明白である。自然災害はおさまれば確かに暮らしは再建され「復興」に向かうはずだ。しかし、現在進行形の原発事故は、決して旧に復することのできない深い傷を、日々刻み続けている。原発政策をそのままにした「復興」などありえない。野田もこの演説で「元に戻すのではなく、新しい日本を作り出すという挑戦」が「今を生きる日本人の歴史的な使命」であるなどと述べている。だがそれは、「自然災害に強い持続可能な国づくり・地域づくりを実現するため、災害対策全般を見直し、抜本的に強化」することであり、「原発事故の原因を徹底的に究明し、その教訓を踏まえた新たな原子力安全行政を確立」することでしかない。こんなことは、従来の原発推進路線においてすら、タテマエとしては掲げられてきたことではないのか。


このふたつの災害を切り離して前者のみを語ることは、その責任を負っている国家にとっては、決して許されることではないはずだ。「追悼式」において、死者の死はもっぱら今後の「復興」にのみ結びつけて語られ、いまなお原発事故の被害を受け続けている人びとをも含めて、被災一般・苦難一般へと問題は解消され、それを乗り越えて「復興に向けて頑張ろう」というメッセージへと「国民的」な動員が果たされる。野田の演説にも見られる「全ての日本人」「日本再生」といった言葉は、多数の被災した在日外国人を排除するだけではない。被災者のおかれているさまざまな苦難の差異を消し去り、あやしげな「共同性」に囲い込み、挙国一致で頑張ろうと忍耐を求める国家の論理なのだ。


さらに、国家によって「追悼」されるのは、個々の固有の名を持つ死者ではありえない。儀礼的な空間の中で、具体的な個々の死者は、集合的に追悼されるべき単一の死者=「犠牲者」なるものに統合されてしまう。その抽象的な死者に対して、国家のタクトにしたがって、「国民的」行事として一斉黙祷がなされる。それはあくまで、儀式を主宰する国家の政治目的のための「追悼」なのだ。それはそのとき、さまざまな場所で、自らの思いにおいて個別の死者を悼んでいるだろうすべての人びとの行為をも、否応なく国家行事の側に呑み込み、その一部としてしまう。それが、国家による死者の簒奪でなくて何であろうか。


この儀式において、天皇の「おことば」は中心的な位置を占めるだろう。天皇は、昨年の震災直後にビデオメッセージを発し、また、被災地を慰問して回った。そこで天皇が果した役割は、被災者の苦難にたいして、その悲しみや怒りを、「慰撫」し「沈静化」させることであった。そのパフォーマンスは、マスコミなどで「ありがたく、おやさしい」ものとして宣伝され続けた。しかし、天皇とは憲法で規定された国家を象徴する機関である。そのような存在として天皇は、震災と原発事故が露出させた戦後日本国家の責任を隠蔽し、再び旧来の秩序へと回帰させていく役割を、精力的に担ったのだ。それこそが天皇の「任務」なのであり、3.11の「追悼式」において天皇が果すのも、そのような役割であるはずだ。


国家がなさねばならないことは別にある。震災と原発事故の被災者の生存権を守り、被害に対する補償や支援をし、さらには被害の一層の拡大を防止するためにあらゆる手立てが尽くされなければならない。そして、これまでの成長優先社会の価値観からの転換がなされなければならない。しかし、政府が行おうとしている方向性は逆だ。原発問題一つとっても、老朽原発の寿命の延長を可能にし、インチキな「ストレステスト」を強行して無理やり再稼働に進もうとしているではないか。それは、「復興」されようとしている社会が3.11以前と同じ社会であること、そこにおいて利益を享受していた者たちの社会であることを物語ってしまっている。この点で私たちは、国家による「追悼式」への抗議の声を、3.11というこの日においてこそ、反原発という課題に合流させていかなければならない。